結婚しても名字を変えない女性、若い世代ほど増加 米意識調査
(CNN) 恋人と婚約した米ニューヨーク市のミシェル・リンさん(28)は、名字についてずっと考え続けていた。
夫の名字に変えた方が一体感が持てて単純だという声もある一方で、自分のアイデンティティーや家族から受け継いだ歴史、自分の名前にまつわる経験を消し去りたくはない。
「私の名字は中学、高校、大学の卒業式で呼ばれ、卒業証書にも書かれている」とリンさん。現在は大学院に通っており、「自分の名前に『博士』という敬称がつく日を夢見ている」という。
リンさんのような若い女性の間で、結婚後も名字を変えない人が増えている実態が、ピュー・リサーチ・センターが7日に発表した意識調査で明らかになった。
調査は既婚者2400人と結婚経験がない955人を対象に実施した。
男性の場合、92%は結婚後も名字を変更せず、変更したのは5%のみ。自分の名字と結婚相手の名字をハイフンでつなげた人は1%に満たなかった。
一方、女性の場合、結婚して名字を変える伝統は根強く残っているものの、結婚に対する考え方には変化がみられた。
異性の相手と結婚した既婚女性のほぼ80%は夫の名字に変えたと回答した。一方で、14%は改姓せず、5%は夫の名字とハイフンでつなげたと答えている。
改姓するかどうかは年齢や学歴と関係があることも分かった。
改姓しなかったという女性は50歳以上では約9%だったのに対し、18~49歳では20%に上った。
大学院を出た女性は26%が改姓していなかった。
未婚女性の場合、結婚相手の名字に変えるつもりと答えた人はさらに少なかった。改姓するという回答は33%にとどまり、23%は改姓しないと回答。ハイフンでつなげるは17%、分からないは24%だった。
ニューヨーク市在住のメラニー・メイヤーさん(27)は、自分の名前を変えることに葛藤を感じていると打ち明ける。改姓は家父長制的な常識に根差す伝統だと思いながらも、同じ名字をもつ核家族という考え方は好ましく感じる。ただし、それが男性の名前である必要はないという。
「名字をつなげるのはいい考えだと思うけれど、それでも自分の歴史の多くが消し去られる」とメイヤーさんは言い添えた。
カウンセラーのデボラ・アシュウェイさんは、若い世代のこうした変化について、女性の社会的力が強くなっていく過程に沿った現象かもしれないと言い、「『自分の名前は変えない』というのは、ある種の独立宣言」と指摘した。
ピューによれば、こうした考え方の変化を比較できる過去のデータは存在しない。しかし「年齢層による違いを見れば、このトレンドの向かう方向は予測できる」としている。