バイデン氏の機密文書問題、特別検察官は訴追せず 報告書で「記憶力」への言及も

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ジョー・バイデン米大統領(左)とロバート・ハー特別検察官/Getty Images

ジョー・バイデン米大統領(左)とロバート・ハー特別検察官/Getty Images

ワシントン(CNN) バイデン米大統領の元事務所や自宅から副大統領時代の機密文書が見つかった問題で、この事案を担当するロバート・ハー特別検察官が8日に公表した報告書はバイデン氏を訴追する内容ではなかった。しかしそこからは、忘れっぽい大統領が極めて慎重に扱うべき機密情報を適切に保護できていなかった実態が浮かび上がった。この結果はバイデン氏に政治的な痛手をもたらしかねない。

報告書によるとバイデン氏は、極秘文書を含む機密情報を故意に保持し、中には2017年から所持する文書もあることを理解していた。またその一部については、同年刊行の回想録に携わったゴーストライターと共有もしていた。

ハー氏が本件でバイデン氏を訴追しないとした主要な理由は、機密情報を違法に保持しようというバイデン氏の意図を証明するものは何もなかったこと、そして本人が捜査に協力的だったことだという。

ただ政治的に打撃となる理由も挙げられている。ハー氏はバイデン氏が訴追されない理由の一つとして、裁判になった場合、「記憶力の乏しい」高齢者として陪審の前に立つことになるからだと説明した。バイデン氏の弁護士らはこの記述に反論。「捜査上の行き過ぎた行為」であり、司法省の規則や規範を軽視しているとハー氏を非難した。

今年11月の大統領選でバイデン氏と対決する公算が大きいトランプ氏は、自身の機密文書の扱いに絡んで刑事訴追されている。ただハー氏は双方のケースに違いがあることを明確にしている。

ハー氏はバイデン氏の記憶力について「著しく限られているようだ」と指摘。17年の回想録を著したゴーストライターとのやり取りも、過去の出来事をなかなか思い出せずにひどく時間がかかることがしばしばあったと付け加えた。

ハー氏がバイデン氏を訴追しない理由に高齢と記憶力を挙げたことは、トランプ氏と共和党にとって間違いなく政治的な追い風になるとみられる。

下院共和党の序列3位、トム・エマー院内幹事は、ハー氏の報告書の内容を「憂慮すべき」と形容。Xへの投稿で、「ジョー・バイデンに大統領でいるための認識能力がないのは明らかだ」と主張した。

同じく機密文書の扱いで昨年訴追されたトランプ氏の事例との違いについて、ハー氏は注意深く説明した。具体的にはバイデン氏が捜査に協力し、文書を返却したのに対し、トランプ氏は文書の返却の要請に応じず、それを隠そうとしたという。

「最も注目すべき点は、機密文書を返却して訴追を免れる機会が何度も与えられたにもかかわらず、トランプ氏は正反対の行動を取ったとされることだ」「訴状によれば、同氏は文書の返却を何カ月も拒んだだけでなく、他者に証拠を破壊させて司法を妨害し、そのことについて虚偽の発言もしたという」(ハー氏)

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