ハンター・バイデン氏、非公開で証言 共和党主導の弾劾調査で
(CNN) バイデン米大統領の次男ハンター・バイデン氏が2月28日、非公開の証言録取を行った。下院共和党によるバイデン氏への弾劾(だんがい)調査の一環。
6時間に及ぶ証言録取の中で、ハンター氏は父親が自身のビジネス上の取引に関与したことはないと明白に否定。米政府が自分を利するため何らかの行動を取ったことも一切ないと主張した。証言中は質問する共和党議員と激しくやり合う場面が頻繁に見られた。
バイデン氏への弾劾調査は当時副大統領だった同氏が権力を乱用し、ハンター氏の巨大な海外ビジネスを通じて自身や家族に利益をもたらしていたとの見方に基づくが、そうした内容は現時点で証明されていない。
ハンター氏は、共和党議員が陰謀論を利用して父親を標的にしていると非難。一方でこれらの議員について、別の大統領の親類、つまりトランプ氏の娘婿のジャレド・クシュナー氏による海外の商取引は調査しないと批判した。
29日夜に公開された証言録取の写しによれば、ハンター氏は「私が認識する限り、父は私のいかなるビジネスにも全く関与したことはない」と述べた。誰からも金銭や利益供与を一切受けてはおらず、何らかの形で便宜を図ったこともないと強調。自分に対してのみならず、どの家族の場合でも同じだとした。
一方で2017年、中国人のビジネス関係者に向けてメッセージアプリの「ワッツアップ」を通じ「父と並んで座っている」と伝えたことに関しては、当時は「正気を失っていた」「酒に酔い、恐らくハイになっていた」と説明。実際のところ父親は隣にはおらず、そもそもメッセージを送った記憶もないと主張した。
バイデン氏本人はハンター氏のビジネスに全く関知しておらず、そこからいかなる利益も得ていなかったという。
証言録取ではハンター氏が共和党議員らに対し、自身が父親に金銭を送った証拠を示すよう強く迫る一幕もあった。ハンター氏が送金の事実を認めているのは、自動車ローンの支払いの1300ドル(約20万円)のみだ。共和党議員らは以前、このローンの払い戻しについて、海外の商取引を通じてハンター氏からバイデン氏に金銭が流れている証拠の可能性があると主張していた。
当時一般市民だったバイデン氏がある事業の合意に絡んでいたことを示唆するビジネス関係者からの17年の電子メールについて問われると、ハンター氏はその内容を「あり得ない」と否定。合意自体は交わされたものの、そこにバイデン氏は全く関わっていないと述べた。
その上で、家族としての父親との関係とビジネス活動は分けて考えているとし、「自分には自分のビジネスがあり、父には父のビジネスがある」と述べた。
また中国企業から受け取った金銭について共和党議員から質問された際には、サウジアラビアがクシュナー氏創設の未公開株式投資会社に20億ドル投資した事例を引き合いに出し反論。自分はクシュナー氏と異なり、外国政府から金銭を受け取ったことはないと明言した。
一方で、クシュナー氏の会社が受け取った金銭を調査していないとして共和党議員を非難した。当該の金銭の受領は、クシュナー氏が21年にホワイトハウスを去った後で行われていた。