トランプ氏「口止め料」裁判、箝口令違反を審議
ニューヨーク(CNN) トランプ前米大統領がポルノ女優への不倫口止め料支払いに伴ってビジネス記録を改ざんしたとして起訴された訴訟で、裁判を担当するフアン・マーチャン判事は23日、トランプ氏に箝口(かんこう)令違反の制裁措置を加えるかどうか審議を行った。
マーチャン氏は裁判開始前に箝口令を出し、トランプ氏が証人や陪審、検察のスタッフについて公に言及するのを制限していた。その後は制限の対象を自身の家族にも拡大。これはトランプ氏によって娘を攻撃されたのを受けた措置だったが、トランプ氏は異議を申し立てている。
今回、トランプ氏の箝口令違反が疑われる事例は10件。マーチャン氏はトランプ氏に制裁を与えるよう求める検察側の申し立てについてまだ判断を下していないが、その心証を読み取るのは難しくなかった。
トランプ氏の弁護士は、同氏がポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏と元顧問弁護士のマイケル・コーエン氏に対して行った攻撃的とされる投稿について、政治的な内容であり裁判に関するものではないと説明したが、マーチャン氏はこれを受け入れなかった。
同氏は箝口令違反を巡る判断をいつ下すのか明らかにしていない。検察側は判事に対し、トランプ氏に違反1件当たり1000ドルの罰金を科すよう要求。また今後も違反行為があれば収監という結果に至る可能性があると本人に通告することも求めている。
23日午前に録音された聴き取りで、トランプ氏は上記のコーエン氏を「嘘(うそ)つき」で「信用ならない」と非難したが、箝口令の下では同氏が証人について公言するのは禁じられている。
箝口令を巡る審議中、トランプ氏の弁護団と判事の間の緊張感は高まり続けていた。
この日はタブロイド紙「ナショナル・エンクワイアラー」を保有するアメリカン・メディア(AMI)のデービッド・ペッカー最高経営責任者(CEO)が証人として出廷し、約2時間半証言した。
ペッカー氏によれば2016年大統領選を控えた15年、同氏はトランプ氏及びコーエン氏と面会。選挙陣営の「目と耳」になり、トランプ氏にとって不利な話題を監視することにその場で合意したと明らかにした。
結局のところ、ペッカー氏はダニエルズ氏への13万ドルの支払いに直接関与してはいなかったが、本人が果たした役割は検察側にとって重要になる。なぜなら同氏は、金銭の支払いによって選挙中のトランプ氏に不利な話題を隠すパターンが存在したと明言しているからだ。
ペッカー氏はまた、メディアの話題を処理することに関してコーエン氏は07年からトランプ氏と自身の仲介役を担っていたとも証言した。