トランプ氏「口止め料」裁判始まる 初日は冒頭陳述と最初の証人の証言
(CNN) トランプ前米大統領がポルノ女優への不倫口止め料支払いに伴ってビジネス記録を改ざんしたとして起訴された裁判は22日、検察側と弁護側が冒頭陳述を行い、正式な審理に入った。大統領経験者を裁く米国史上初の刑事裁判となる。
検察は陪審員団に対し、かつて不倫関係にあったとされるポルノ女優のストーミー・ダニエルズ氏への多額の「口止め料」支払いは、2016年大統領選に影響を及ぼすためのより広範な陰謀の一環だったと指摘した。支払いによりトランプ氏にとって不利な情報が隠されるためだという。
一方、トランプ氏の弁護士らは陪審員団に対し、トランプ氏に罪はなく、ビジネス記録の偽造にも関与していないと主張した。その上で、「選挙に影響を及ぼそうとすることには何の問題もない」と付け加えた。
トランプ氏は依然として出廷時と退廷時、裁判に対する非難を口にした。
検察はタブロイド紙「ナショナル・エンクワイアラー」を保有するアメリカン・メディア(AMI)のデービッド・ペッカー最高経営責任者(CEO)を最初の証人として召喚した。ペッカー氏は22日午前、裁判が閉廷するまでのおよそ30分間証言。23日に続きの証言を行うとみられる。
検察は冒頭陳述で、ペッカー氏がトランプ氏と共謀し、16年大統領選を控えた同氏に対する世間の評判をコントロールしようと計画したと主張した。15年8月にペッカー氏はニューヨーク市内のトランプタワーでトランプ氏の元顧問弁護士のマイケル・コーエン氏と会い、陰謀を画策したという。
検察によれば計画は、AMIの手掛ける媒体でトランプ氏を称賛する記事を出す一方、同氏の選挙活動に悪影響をもたらす可能性のある話題をもみ消すとする内容だったという。
AMIはトランプ氏との不倫関係を告白したもう1人の女性、元モデルのカレン・マクドゥーガル氏に不倫の口止め料15万ドル(約2300万円)を支払うことに同意したとされる。マクドゥーガル氏による告白が明るみに出たのは16年大統領選の数カ月前。(トランプ氏はこれらの不倫関係を否定している)
公判は23日に再開する。裁判を担当するフアン・マーチャン判事は再開前、証人に関する発言を禁じた箝口(かんこう)令にトランプ氏が違反したとの主張を審議する予定となっている。