世界初のブタ腎臓移植患者、手術の数カ月後に死亡 米マサチューセッツ州
(CNN) 米マサチューセッツ総合病院で世界初のブタの腎臓移植手術を受けた62歳の男性が、手術から数カ月後に死亡した。
リック・スレイマンさんは昨年、末期の腎臓病と診断され、今年3月に遺伝子を編集したブタの腎臓を移植された。マサチューセッツ総合病院は、スレイマンさんの死がこの移植手術の結果だったことをうかがわせる痕跡はないと強調している。
スレイマンさんは4月に退院。医師団は、新しい腎臓は何年も機能し続けるだろうと予測する一方で、動物から人への移植には未知の部分も多いと説明していた。
「スレイマンさんは世界中の数えきれない移植患者にとって、永遠に希望の光とみなされるだろう。異種移植分野の発展のために彼が寄せてくれた信頼と意欲に深く感謝する」。マサチューセッツ総合病院はそうコメントしている。
糖尿病と高血圧で長年の闘病を続けていたスレイマンさんは、2018年に人間のドナーの腎臓移植手術を受けた。しかし5年後に腎不全の兆候が現れ、23年に透析を再開した。
3月の手術はマサチューセッツ総合病院臨床移植免疫寛容センターの河合達郎所長が執刀した。
スレイマンさん以前に行われたブタの臓器移植は2例のみ。いずれも心臓移植で、手術から数週間後に死亡している。