感謝祭の教会に泥棒目的の男侵入、牧師が柔術で撃退 米
(CNN) 米国が感謝祭を迎えた28日、カリフォルニア州の教会に泥棒目的で侵入した男は、思いがけない障害に出くわした。それは柔術の訓練を積み、教会を守る決意を固めた一人の牧師だった。
同州アンティオックに住むニック・ネベス牧師は、28日未明に警報が鳴ったのを受け、教会に駆けつけた。CNNとの取材で明らかにした。
教会に着いたネベス氏は、建物の「窓が割られ、扉が開け放たれている」のを目にした。地元警察がフェイスブックに投稿した内容によるとこの時、男1人が斧(おの)を使って窓を破り、建物内に侵入していた。
ネベス氏が扉から中に入ると、犯人が教会の物品を手にして現れたという。ネベス氏は犯人を呼び止め、実質的な私人逮捕の状態にあること、警察が来るまで待たなくてはいけないことを相手に伝えた。
「彼が逃げようとしたので、私は取り押さえた。すると抵抗し始め、かなり長いこと私たちは格闘していた。警察が到着するまで」(ネベス氏)
ネベス氏はCNNに対し、高校時代から格闘技を習っていると説明。とりわけブラジリアン柔術が得意なのだが、まさかその技を実社会で使うことになるとは思わなかったという。
「犯人を傷つけたり、危害を加えることは全く本意ではなかった」とネベス氏。「とにかく彼を逃がさないようにしていた。そうすれば正義がなされ、我々の教会も守られるから」
予期せぬ形で始まった格闘の間も、ネベス氏は相手を取り押さえることに集中し、けがを負わせないように注意していたという。
最終的にネベス氏は、警察が到着するまで犯人を取り押さえることが出来た。犯人は警察に逮捕された。
アンティオック警察署は犯人の氏名を公表していないが、CNNの取材に対し、29日の時点でも引き続き拘束されていると明らかにした。今後建物への侵入に関連して泥棒や強盗、暴行の罪で起訴される見通しだという。
ネベス氏によると犯人は、器物損壊で教会に数千ドルを支払わなくてはならなくなる公算が大きい。
同氏は「犯人への憎しみはない」とし、今回のことを心に刻み、また他人から盗みを働く誘惑に駆られたときには思いとどまってほしいと語った。
その上で「もし日曜日に教会へ来るなら、喜んで彼に福音を伝える」と付け加えた。