イバンカ・トランプ氏、政治との関係を断ち切る 「戻るつもりはない」

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イバンカ・トランプ氏、「政治はかなり暗い世界」

(CNN) トランプ次期米大統領の長女イバンカ・トランプ氏は成人してからずっと父親のために働いた。

トランプ氏が不動産王だったとき、イバンカ氏はトランプ氏の次のホテルを設計していた。トランプ氏がリアリティー番組に出演していたときはテレビ局の会議室にいた。トランプ氏が立候補したとき、イバンカ氏は遊説に出た。トランプ氏の大統領在任中にはホワイトハウスの西棟に執務室を持っていた。

しかし2021年1月、イバンカ氏は23歳以降初めてワシントンを離れ、父親のもとでの仕事からも離れた。

イバンカ氏は政治との関係を断ち、戻るつもりはないと語る。

イバンカ氏は22年、父親が大統領選への3度目の出馬を発表したあと、「私は父をとても愛している。今回は、幼い子どもたちと家族として築いている私生活を優先するつもりだ。政治に関わるつもりはない」とSNSに投稿した。

イバンカ氏に近い情報筋はこの発言について、トランプ氏が勝利した今年の大統領選後も変わらないと話す。同氏と夫のジャレッド・クシュナー氏はおおむね世間の注目を浴びることなくこの4年間を過ごしてきたフロリダ州マイアミで人目につかない生活を求めているからだ。

これは、トランプ氏の最側近の一人として劇的な転機であり、ホワイトハウスでの最初の猛烈な4年間を経たうえでの意図した変化でもあった。

イバンカ氏は父親が下した決定について絶え間ない監視と批判にさらされた。これらの決定は自分が完全に影響を及ぼしたり、抑えたりすることのできなかったものだった。イバンカ氏はニューヨークの社交界の一部のリベラルな友人から疎外され、倫理上の問題が絶えない中、比較的成功していた同氏のアパレル・アクセサリーブランドを閉鎖した。同氏が政界を離れたことは、父親がもはや上司ではないということを意味する。そして同氏は、一家のビジネスが大統領職との近さやそれに伴う人間関係から利益を得てきたことで可能になったものとはまったく異なる生活様式で新たな道を切り開いている。

イバンカ氏は今年7月、ポッドキャストの番組に出演し、「政治はかなり暗い世界だ。闇や否定的側面がたくさんあり、人間として自分が心地よく感じるものとは対極にある」と語った。また、政治は本当に厳しい仕事であるため、参加しないのが正しいと感じていると続けた。

イバンカ氏に近い情報筋によると、同氏は定期的に父親と話しており、今後もさまざまな問題について非公式に助言し続ける可能性が高いという。

ホワイトハウスにいた間、スタッフや顧問らはイバンカ氏の成功と大統領への助言を強調した。時にはイバンカ氏の仕事が評価され、あまり人気のない政策から距離を置くよう強力な広報活動も行われた。

トランプ氏の代理人はCNNへの声明で、「イバンカ氏は誇りを持ってホワイトハウスの取り組みを先導し、政策に関する政権の成功を促進した」と述べた。

「後継者」から柔術へ

トランプ政権の1期目が終わりに近づくにつれ、イバンカ氏はより好戦的な人物として登場し、父親と足並みをそろえて「党派的な調査」と称するものを激しく非難した。また中絶の権利に「断固とした」反対派であると自称。当時、情報筋は同氏が将来的に出馬すると予測しており、トランプ一家と仕事をしたある情報筋は、トランプ氏が娘を「後継者」とみなしていたと語った。

しかしトランプ政権1期目の終わりは、家族にとって必要な変化だった。トランプ氏は21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件の余波でワシントンからほぼ追放され、フロリダへと環境を移した。

イバンカ氏が政界を去る決断は、過去4年間のより困難な個人的な出来事によっても生み出された可能性がある。最愛の母であるイバナ・トランプ氏が22年7月にニューヨーク市の自宅で突然亡くなったのだ。

イバナ・トランプ氏の葬儀に出席したイバンカ・トランプ氏と夫のジャレッド・クシュナー氏と子どもたち=2022年7月、米ニューヨーク市/John Lamparski/Getty Images
イバナ・トランプ氏の葬儀に出席したイバンカ・トランプ氏と夫のジャレッド・クシュナー氏と子どもたち=2022年7月、米ニューヨーク市/John Lamparski/Getty Images

また、夫のクシュナー氏も健康問題に悩まされており、甲状腺がんで2度の手術を受けたという。

友人らは、家族が21年1月にフロリダ州マイアミに引っ越して以来、イバンカ氏の公に見せる攻撃的な姿勢は、徐々に現在の姿勢に転じていったと述べている。

複数の友人らはCNNに対し、イバンカ氏について政治から身を引くという自身の決断に安心しており、家族を優先してプライバシーを確保し、新しい興味を追求していると語った。

イバンカ氏のSNSには、家族と一緒にガーデニングをしたり、柔術やサーフィンを習ったり、ボードゲームに興じたりする写真が散りばめられている。

4年間の予測

イバンカ氏に近い情報筋によると、今のところ政界復帰の可能性はないものの同氏は父親の2期目に新たな方法で影響力を発揮する可能性が高い。具体的には食料不安や、農家の支援、災害救援に重点を置いた非営利分野などが考えられるという。

情報筋は「彼女は今、自分の影響力をより個人的なレベルで活用し、自分が属する地域社会に良い影響を与えることを選択している」とし、「そのように影響力を発揮しながら、幼い子どもたちとそのプライバシーを優先する時間を持つことが彼女の望みだ」と付け加えた。

イバンカ氏はハワイの山火事やノースカロライナ州のハリケーンの被災者、ポーランドに避難したウクライナ人の支援活動に従事してきた。地元の食料支援施設を手伝ったりもしている。

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