米ロス山火事、地球温暖化の影響で威力増す 研究が示唆
(CNN) 米ロサンゼルスで過去1週間猛威を振るっている山火事は、地球温暖化につながる化石燃料の影響が原因でより大規模かつ強力になった。新たな分析がそう示唆している。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の科学者らが短期間で行った調査によると、山火事が激化した要因の25%前後は気候変動に帰する可能性があるという。報告では気候に関連した影響がなくても山火事は発生しただろうと明言。ただしその場合は「いくらか範囲が狭く、威力も小さかった」はずだと結論づけた。
研究結果からは、気候変動の影響に伴う炎の拡大要因がなければ山火事は制御可能だったかどうかという疑問が浮かび上がる。UCLAの科学者らは、自分たちの分析を「出発点に」、より深掘りした研究が必要になるとの認識を示唆した。
ロサンゼルス周辺では今月7日以降、12の山火事が発生。10年に一度の強風が乾燥した地域に吹き荒れた結果、1万5500ヘクタール以上の土地が燃え、1万2000棟を超える建物が焼け落ちた。
火の勢いを高めた気候関連の要因には、昨冬の極端な雨の多さ、異例の高温となった夏と秋、今冬の雨期の著しい遅れが挙げられる。
研究者らはロサンゼルス中心部の冬の雨量について、2年連続で例年の2倍を記録したと指摘。人間由来の気候変動の特徴として、大気中の湿度が増加したとの見解を示した。昨冬の雨の多さを受け、草や低木は通常を「著しく上回る」規模で成長。ロサンゼルス地域の植生は2000年以降で最も豊かな水準に達していたと、研究者らは記述した。
気候の振り子が振れ、昨夏の乾燥が訪れると、それらの草や低木が乾き始めた。雨期の開始が例外的に遅れることで、こうした乾燥状態に拍車がかかった。
カリフォルニア州南部は乾燥と湿潤の振れ幅が著しく大きいのが常態だが、昨年の5月以降の雨量の少なさは異例。5月1日から今年の1月8日までに降った雨量はわずか7.4ミリだった。1877年に記録を取り始めて以降、今回より雨量が少なかったのは1962~63年のみ。
UCLAの報告によると、最初の山火事が発生した時点で、枯れた植生に含まれる湿度は過去6番目の低さだった。
乾燥と雨天とが激しく入れ替わる現象は、「天候のむち打ち症」の名で知られる。CNNは先ごろ、化石燃料由来の地球温暖化に伴ってこの現象の頻度が一段と増していると報じた。こうした変動を受けて、山火事や洪水といった災害の被害もより深刻なものになるという。