10代少女殺人事件、48年後にDNA検査で同窓生を逮捕 米ホノルル
(CNN) 高校2年生のスージー・チュン・オークランドさんは、約50年前の1977年3月21日朝、事件現場となった米ハワイ州の州都ホノルルのマッキンリー高校に登校した。
学校に到着すると、教師の1人が英語棟の2階で生徒の遺体を発見したところだった。警察によると、ドーン・モモハラさん(16)は衣服を一部身に着けておらず、首にはオレンジ色の布がきつく巻かれていた。性的暴行を受け、絞殺されたとみられたという。
ハワイで最も人口が多く、結束の固いホノルル市は、モモハラさんの遺体が発見されて以降、長い間神経をとがらせてきた。
ホノルル警察は今月21日、記者団に、マッキンリー高校の卒業生ギデオン・カストロ容疑者(66)を入居していたユタ州の介護施設で逮捕したと発表。容疑者は以前、警察に被害者を知っていると語っていた。
カストロ容疑者は第2級殺人罪に問われている。70年代には利用できなかったDNA検査によって50年近くたち、身元の特定にいたったという。
多数の手がかりにもかかわらず捜査は難航
モモハラさんの母親が娘から最後に連絡を受けたのは、遺体で発見される前日だった。警察によると、モモハラさんは前日の朝に知らない男性から電話を受けていた。その後、友人とショッピングセンターに行くと母親に伝えて出かけたという。
地元メディアは当時、モモハラさんが夜になっても帰宅しなかったため、友人や家族が車で学校のキャンパス周辺を探したと伝えている。モモハラさんがショッピングセンターにたどり着いたかどうかは不明。行方不明届けが提出されてから数時間後、モモハラさんは教室の外で遺体となって発見された。モモハラさんは級友から、おとなしく、内気と言われていた。
警察は事件から数日後、モモハラさんの友人や家族、知人に事情聴取を行った。そして、目撃者ふたりの証言に基づき、遺体が発見される前夜、学校の英語棟の近くにいた男と車のスケッチを公開した。
警察が1977年に公開した容疑者のスケッチ/Honolulu Police Department
捜査の初期段階で捜査員らが事情聴取した同窓生の中には、カストロ容疑者とその兄弟もいたという。
カストロ容疑者は当時、卒業した76年に開かれた学校のダンスパーティーでモモハラさんと出会ったと警察に話していた。最後に会ったのは翌年のカーニバルで、15分ほど話をする中で、自身が陸軍の予備役であることを告げたという。
警察は「数多くの手がかりを追って複数の人物に事情聴取したにもかかわらず、捜査官は当時、容疑者を特定できなかった」と述べた。
事件は数十年にわたり未解決に
未解決事件の捜査が進展し始めたのは、事件から42年後の2019年になってからだ。最新のDNA検査によってモモハラさんのショートパンツと下着から得た証拠の分析が可能になったのだ。
捜査官は20年、ショートパンツから採取したサンプルから身元不明の男のDNAプロファイルの一部を入手することに成功した。
23年になって捜査官は、カストロ容疑者またはその兄弟が事件の「容疑者」である可能性があるという情報を受け取った。そこで捜査員は容疑者らの居場所を把握。米本土に出向き、カストロ兄弟の子どもからひそかにDNAサンプルを入手した。
このDNAサンプルによって兄弟の容疑は晴れ、カストロ容疑者に焦点が絞られることになった。
カストロ容疑者の息子から採取したサンプルは、モモハラさんのショートパンツから見つかったDNAと父親のDNAが一致していることを示していたという。
捜査員は今月、ユタ州に向かい、カストロ容疑者のDNAサンプルをひそかに入手。検査の結果、証拠から採取したDNAプロファイルと一致した。捜査員は21日午前7時40分、同州の介護施設で同容疑者を逮捕した。