トランプ米政権の大量解雇、国立公園を直撃 夏の観光シーズン控え
(CNN) 時間は短く、列は長く、ツアーガイドもなし――。トランプ米政権が連邦政府機関の労働力を大幅に削減しようとする取り組みの一環で国立公園の職員1000人を解雇したことで、国立公園を訪れた人々は、その影響を受けそうだ。
人員の削減は、国立公園の繁忙期である夏を前に実施された。全米各地の公園には年間3億2500万人が訪れる。
米国立公園保護協会によれば、国立公園はすでに人手不足に直面しており、2010年に比べて20%少ない職員で運営されている。同協会の幹部は「削減できる余裕はない。そこにいる職員全員が必要だ」と述べた。
コロラド州にあるフローリッサント・フォッシル・ベッズ・ナショナル・モニュメントはフェイスブックへの投稿を通じて「人員不足」により月曜日と火曜日を閉園にすると発表した。CNN提携局KSTUによれば、ユタ州にあるザイオン国立公園の訪問客は、入場ブースを管理する職員が1人か2人しかいなかったため、長い渋滞に直面した。
アンガス・キング上院議員(無所属)の事務所によれば、国立公園の職員は1000人以上が解雇された。AP通信によれば、先週少なくとも50人の雇用が回復した。
国立公園局を傘下に持つ内務省では2300人の職が削減された。パティ・マレー上院議員(民主党)が明らかにした。
専門家によれば、2月14日に発表された職員の解雇は、400以上の公園で訪問者の体験のさまざまな側面に影響を及ぼす可能性がある。
全米野生生物連盟のカリフォルニア州のディレクター、ベス・プラット氏は、新型コロナウイルス感染症の流行が、観光客がより少ない職員に何を期待するかの前例となったと指摘する。
コロナの期間、公園の多くは閉鎖され、それでも公園を訪れる人たちを管理する職員がいなかった。
「人々は木々を切り倒し、傷つきやすい牧草地を車で走り、ごみはあちこちに捨てられ、落書きもあった」(プラット氏)
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滝を流れる水が沈みゆく太陽のオレンジ色の光を反射し、燃えているかのように見える米ヨセミテ国立公園の「ファイアフォール(炎の滝)」/Tayfun Cokun/Anadolu/Getty Images
プラット氏によれば、公園は不適切な使われ方をされないよう、多くの職員を必要としている。管理者は人員不足により、特定のルートやキャンプ場の閉鎖といった変更を余儀なくされる可能性がある。
ヨセミテ国立公園は五つのキャンプ場で予約販売を一時的に停止した。可能な限りの早い再開を望んでいるとフェイスブックに投稿している。
ほかでも、より大規模な公園から、より小規模なアトラクションまで、営業時間を短縮しているところが出ている。
国立公園保護協会によれば、職員の解雇によって公園は繁忙期に向けた維持管理の問題に直面する可能性がある。公園内の車両がすぐに修理されなかったり、歩道が早く修理されなかったりすることを意味するかもしれないという。
AP通信によれば、国立公園局は今年、季節にあわせて最大7700人を雇用するとしている。これは通常の6350人よりも多い。
それでも季節にあわせて雇用される人たちは、解雇された正規雇用の職員を補うことはできない。季節にあわせて雇用される人たちの仕事は初歩的なものだが、解雇された職員の一部は管理職だったり、より多くの責任を負う立場だったりした。
アラスカ州にあるランゲル・セントイライアス国立公園では唯一のパイロットが解雇された。パークレンジャーの団体「ANPR」の幹部ビル・ウェード氏が明らかにした。
ウェード氏は、どうやって野生動物を保護し、密猟を発見し、公園で遭難した人を見つけることができるのかと訴えている。