ヨルダンで政府批判デモ、負傷者 国王打倒の異例の呼号も
(CNN) 中東ヨルダンの首都アンマンで14日、ガソリン価格などの値上げに反発する住民ら数百人のデモが起き、排除を図る機動隊と衝突した。デモではアブドラ国王体制の打倒を求める異例のスローガンが呼号されるなど、政府への抗議活動が先鋭化していることを見せ付けた。
政府の汚職体質や貧困対策も糾弾するデモはアンマンの主要道路沿いにある地区で発生。機動隊は催涙弾や放水銃などを使って規制を図った。公共治安省によると、衝突などでデモ参加者14人が警官の発砲で負傷。建物なども損傷の被害を受けた。
警察はデモ参加者の男性1人を殴打して拘束。CNNの現場取材で私服姿の情報機関要員が警官隊に投石した若い男性2人を連行したことも確認された。
排除を受けた後、一部のデモ参加者が居残って警官隊とにらみ続け、国王打倒などを叫んだ。ヨルダンでは2010年12月以降、政府批判の抗議デモが散発的に発生し、議員や首相を非難し、政権刷新などを要求しているが国王が批判の的になったのは異例。国王を敵視する見方はまだ少数派だが、広がり始めているとの見方がある。
ヨルダンで国王を侮辱することは違法とされ、投獄も可能。これらの政府批判デモは、北アフリカや中東諸国に多発した民主化運動「アラブの春」で勢いをさらに増す結果ともなっている。
国内の政府批判の拡大を受け、国王は今年10月、議会を解散し年末の総選挙実施を命じた。ただ、今月13日、ガソリンやディーゼル油、灯油、食用油の値上げを発表、国民の不興を買っていた。同国は高失業率やインフレ高騰にも襲われている。