今度は女子校教員が犠牲に、通勤途中に銃撃 パキスタン
(CNN) パキスタンで女子校の教員が通勤途中に殺害される事件があり、政府に対して女子生徒と教員の安全対策強化を求める声が強まっている。
政府当局者によると、殺害されたのはアフガニスタンとの国境に近い同国北西部の部族地域カイバルにある女子校の教員だったシャナーズ・ナジルさん。通勤途中にバイクに乗った男2人に銃撃され、近くの病院に運ばれたが、複数の銃弾を浴びており、間もなく死亡した。
一方、ナジルさんの夫と息子はCNNに対し、ナジルさんは撃たれた現場で死亡したと話している。息子は襲撃された時、ナジルさんと一緒にいたが、犯人たちはナジルさんを撃った後、息子に逃げるよう促したという。
ナジルさんは教員暦24年のベテランで、政府がテロ激化を理由にカイバルの学校に異動させていたという。夫は「妻だけでなく全教員について、政府は何の安全対策も講じていなかった」と憤る。
パキスタンでは昨年、反政府勢力タリバーンが拠点とするスワート渓谷で、14歳の女子生徒マララ・ユスフザイさんが学校から帰宅途中に銃撃されて重傷を負う事件が発生。パキスタン政府は女性が教育を受ける権利を守る取り組みに力を入れ、タリバーンに対抗すると表明していた。
国連の教育特使を務めるゴードン・ブラウン前英首相の事務所はナジルさんについて、「女子生徒が学校へ行く権利を守ろうとしたために撃たれた勇気ある教員」だったと追悼し、パキスタン大統領と政府に対し、学校に通う女子生徒と教員の安全を守るため、対策を強化するよう呼びかけた。