バグダッドの4新聞社に同時襲撃 シーア派聖職者批判の記事に反発か
バグダッド(CNN) イラクの首都バグダッドで1日、4つの新聞社が同時に群衆の襲撃を受けた。中部カルバラのイスラム教シーア派聖職者を批判的に取り上げた記事に、支持者らが反発したとみられる。
警察は2日に捜査を開始した。調べによると、群衆は新聞社の設備を破壊し、文書を盗み出した。警備員や従業員が殴られ、1人は屋上から放り出された。少なくとも6人が負傷したという。
襲撃を仕掛けたのは、カルバラのシーア派聖職者、マフムード・サルヒ師の支持者らとみられる。イラク紙パーラメントに、同師が武力でカルバラのシーア派指導部を掌握しようとしているとの記事が掲載されたことに対し、抗議が集中していた。記事には、同師の自宅は軍事キャンプのようだとも書かれていた。パーラメントの編集者は支持者らに対し、記事を書いたのは同紙ではなく、通信社だと説明していたという。
サルヒ師の事務所は襲撃を非難し、関与を否定している。イラクのジャーナリスト団体、JFOも非難声明を出した。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)のイラク事務所責任者は「言論の自由はイラクに真の民主主義を確立し、持続可能な平和を築くうえで不可欠の要素だ」と述べ、襲撃による影響に懸念を示した。国連の支援団も、こうした攻撃は「いかなる状況下でも容認できない」との声明を出した。
同国ではフセイン政権崩壊後、多数の新聞社や放送局が誕生したが、「ジャーナリストにとって最も危険な国のひとつ」という汚名の返上には至っていない。