サイクロン接近でバングラデシュなど厳戒、800万人に危険迫る
(CNN) バングラデシュとミャンマーにサイクロンが接近し、当局はベンガル湾に面した一帯の住民を高台に避難させたり、緊急援助物資を準備するなどの対応に追われている。国連人道問題調整事務所(OCHA)は、800万人以上が危険にさらされる恐れがあると警告した。
サイクロンは16日夜から17日未明にかけてバングラデシュ南部のチッタゴン付近に上陸する見通しで、一帯では強風と豪雨が予想される。国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の関係者は「バングラデシュとミャンマー両国で対応に追われている。時間との戦いだ」と語った。
ミャンマーでは当局や支援団体が、西部ラカイン州沿岸の低地にある避難民キャンプの住民を安全な場所に移動させている。同キャンプには、昨年発生した仏教系住民との衝突で自宅を破壊され、避難を強いられたイスラム系住民10万人以上が暮らす。その多くはイスラム教の少数民族ロヒンギャ族が占める。
ロヒンギャ族はかつてのミャンマー軍政の下で抑圧されてきた歴史があり、OCHAによれば、キャンプ住民の中には軍の車両に乗ることや、兵舎に避難することを拒む人もいるという。
13日にはロヒンギャ族などのキャンプ住民を乗せて避難途中の船が座礁して転覆し、58人が行方不明になっている。死者の数は分かっていない。
一方、1970年のサイクロンで推定40万人の犠牲者が出たバングラデシュは、5万人あまりのボランティアを動員して住民を避難させたり、救援物資を配るなどの備えを進めている。