新型ウイルスでフランスでも死者 「世界を脅かす」とWHO
(CNN) 中東を中心に感染が広がっている新型コロナウイルスで、フランスの病院に入院していた男性患者が28日、臓器不全のため死去した。同ウイルスによる死者は23人目。世界保健機関(WHO)はこのウイルスを「中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス」と命名し、「世界を脅かす」存在になっていると警告した。
新型ウイルスは、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすコロナウイルスの仲間で、WHOは23日までに、世界で44人の感染を確認した。その半数が死亡している。
WHOのマーガレット・チャン事務局長は27日、スイスのジュネーブで開かれた第66回総会最終日の演説で、MERSについて「影響を受けた1国にとどまる問題でも、その国のみで対処できる問題でもない」と指摘。「このウイルスが自然のどこに隠れているのか、どのようにして人に感染するのかも分かっていない。そうした疑問に答えるまで、予防する手立てはない」と述べ、情報を集めることが急務だと訴えた。
フランスで死亡したのは、同国でMERS感染が確認された患者2人のうちの1人。5月9日からリールの病院で治療を受けていた。同国厚生省によると、この男性はアラビア半島に渡航して感染したという。
もう1人の男性患者は容態は安定しているが、重篤な状態が続いている。2人目の患者は同じ病室に入院していてMERSに感染したという。
米疾病対策センター(CDC)によれば、MERSは呼吸器系の症状を引き起こし、感染すると高熱や咳などの症状が出て、重症化すると肺炎や腎不全に至ることもある。
WHOによると、感染者はこれまでに、サウジアラビア、フランス、ドイツ、英国など8カ国で確認されている。ほとんどは既往症のある男性だという。どのようにして人に感染するのかは分かっておらず、症状が軽い場合は感染を把握できないことから、感染者の正確な数も分かっていない。