チャド軍、中央アフリカの首都の市場で乱射 多数が死傷
(CNN) 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は4日、アフリカ中央部の中央アフリカ共和国の首都バンギで先月29日、隣国チャドの軍部隊が市場で民間人に発砲、約30人を殺害し、300人を負傷させたとの暫定調査結果を公表した。
襲撃したチャド軍はその後、拘束などされずに母国へ戻ったとみられる。中央アフリカではイスラム、キリスト両教徒間の流血の抗争が続き、周辺国で組織する国際支援団が和平維持活動に当たっている。国連によると、市場を襲ったチャド軍は支援団の一員でないという。
OHCHRによると、チャド軍は複数の軍トラックに分乗してバンギに到着して、女性や子どもも含む買い物客で混雑する市場に進み、発砲した。パニック状態となったがチャド軍兵士は構わず乱射を続けたという。
複数の消息筋はOHCHRの調査団に、チャド軍の襲撃グループは残留するチャド人やイスラム教徒を連れ出すためバンギに入っていたと指摘。キリスト教系の民兵組織からの迫害を防ぐことが任務だったとしている。
約6000人規模の国際支援団にはチャド軍兵士約850人も参加。ただ、CNNのフランス語系列局BFMTVによると、チャド外務省は3日、支援団からチャド軍を撤収させるとの声明を発表していた。
この声明では、中央アフリカの苦難をチャドとチャド人のせいにする悪意あるキャンペーンへの批判を加えていた。
中央アフリカでは昨年春、イスラム系武装勢力の攻勢で大統領が国外へ脱出し、キリスト教系民兵組織が立ち向かう宗教対立に発展。武装衝突も拡大し、多数の死者が出ている。