南シナ海緊張、中越が掘削で対立 比は中国漁船拿捕
米国務省のサキ報道官は、パラセル諸島近くでの中国による掘削作業を非難。「一方的な行為は争いのある主権論争で自らの主張を強める中国の行動様式の一環とみられる。この種の行為は地域の平和と安定を損ねる」と批判した。
これに対し中国外務省の報道官は、掘削作業はベトナムとは無関係な行動であり、米国も同様であると反論した。
比警察によると、同国当局による中国漁船の拿捕(だほ)はスプラトリー諸島にあるハーフムーン礁近くで発生した。ウミガメ350匹を捕獲していたという。中国当局は漁船拿捕を受け、比側にさらなる挑発行為の中止を求めた。
南シナ海問題などに詳しい米マサチューセッツ州工科大学の学者は、今回のパラセル諸島近くでの衝突を受け、全面戦争ではないが軍事衝突が起きる可能性があると指摘。中国とベトナム間の問題は中比間の問題より深刻との見方を示した。
中国は1950年代以降、パラセル諸島の北半分を実効支配下に置き、南半分については74年以降、実質的に管理している。
また、フィリピンが今回、中国漁船の拿捕に踏み切った背景要因として、オバマ米大統領が最近訪比して結んだ新たな軍事協力協定に鼓舞された側面があると分析した。