原因不明の腎疾患、中米のサトウキビ労働者にまん延
(CNN) 中米のサトウキビ畑などで働く男性の間に、原因不明の腎疾患が広がっている。働けなくなったり命を落とす人も多く、専門家らが調査に乗り出しているが、いまだに原因は分かっていない。
ニカラグアで16歳の時からサトウキビ刈りをしてきたという男性(65)は、発熱、頭痛、食欲不振、めまいなどの症状に見舞われた。腎機能が著しく低下していることが分かり、これ以上農作業を続けることはできないと医師に言われたという。
「たくさんの同僚がこの病気のために死んだり、働けなくなったりした」と男性は話す。
この疾患は専門家の間で「原因不明の慢性腎疾患(CKDu)」と呼ばれる。中米でCKDuのために死亡した人は過去20年で少なくとも2万人に上るという推計もあるが、実態は把握できていない。
CKDuは糖尿病や高血圧とは無関係で、患者はエルサルバドル、ニカラグア、コスタリカの太平洋沿岸で農業に従事する男性に集中している。特にサトウキビ畑で働く人が多く、20~30代で発症し、40~50代で死亡する人もいるという。しかし患者が太平洋沿岸に集中している理由も、サトウキビ刈りとの関係も不明だ。
重症化すると透析や腎移植しか命を助ける方法しかなくなる。しかし患者の多くは貧しく、こうした治療を受けられずにいる。
患者の支援活動を行っている非政府組織(NGO)のラ・イスラ財団は7月にCKDuに関する会議を開く。米疾病対策センター(CDC)などの専門家が出席し、原因究明に向けた研究について話し合う予定だ。CDCの専門家は「答えが出るまでにはまだ時間がかかりそうだが、研究を続けることが大切だ」と指摘した。