肥満深刻化のブラジル、スタジアムには特大座席も
(CNN) サッカー・ワールドカップ(W杯)が開かれているブラジルで、肥満問題が深刻化している。W杯会場のスタジアムには、肥満の観客のための特大座席4750席が設置された。同国の法律では肥満を障害と認定し、施設などに対応を義務付けている。
かつては栄養不良に苦しんだ同国だが、今や肥満人口は増え続ける一方。2012年の統計ではほぼ7人に1人が肥満に分類された。太り過ぎの割合は1975年の時点で男性19%、女性29%だったのが、2014年は男性54%、女性の48%を占めるまでになった。
専門家によると、中南米全体で過去20年の間に太り過ぎが急増し、人口に占める割合は10%未満から50%超に増えている。
ブラジルでは低所得層ほど炭水化物や糖分の多い食事に偏る傾向があるという。
地元の医師は、「健康的な食品の値段が高くなった」と指摘し、都市部でも地方でも、野菜や果物の摂取量が減り、肉や糖類、加工食品の消費量が増えたと話す。
グローバル化の進展で、都会から遠く離れた地域にも加工食品が行き渡るようになった。例えば食品大手のネスレは2010年から、アマゾン川で定期船を運航し、流域の住民のため「水上スーパーマーケット」を運営している。
食生活の激変で筆頭の死因には心疾患や脳卒中が浮上し、糖尿病がそれに続く。
事態を重く見たブラジル政府も、食事に関するガイドラインを公表したり、子どもの肥満を食い止めるため学校給食の40%に地元産品を使う制度を打ち出すなどの対応に乗り出している。