ウクライナ軍がクラスター爆弾使用か 国連が懸念表明
(CNN) ウクライナ軍が同国東部で親ロシア派に対し、殺傷能力の高いクラスター(集束)爆弾を使用していたとの情報を受け、国連のデュジャリック報道官は21日、強い懸念を表明した。
国際人権団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は20日、ウクライナ政府軍が10月初めに同国南東部の広い範囲でクラスター爆弾を使い、少なくとも6人が死亡、数十人が負傷していたとする報告書を発表した。死者の中には一般市民や、国際赤十字の職員も含まれていたという。
国連のデュジャリック報道官はこの報告について、「憂慮すべき重大事であることは明白だ」と語り、「潘基文(パンギムン)国連事務総長はこうした無差別兵器の廃絶と、ウクライナ危機の政治解決を改めて呼び掛けている」と述べた。
これに対してウクライナのセルゲイエフ国連大使は21日、同国国防省の公式見解として「クラスター爆弾を東部の対テロ作戦で使用した事実はない」と述べた。
クラスター爆弾は多数の子爆弾を内蔵し、これをフットボール場ほどの広さにまき散らすため、一般市民を巻き込む恐れが強い。その上、残された不発弾は紛争後も長期にわたって市民らに危険を及ぼす。
HRWの報告によると、調査団が今月、現地の街や村落十数カ所を1週間かけて調べたところ、子爆弾がばらまかれた跡や不発弾が見つかった。攻撃を受けた時に単発の大音響ではなく、複数の小さな爆発音が聞こえたとの証言もあったという。
報告書はさらに、決定的な証拠はないとしたうえで、親ロシア派側からの攻撃でもクラスター爆弾が使われた可能性があるとも指摘した。
国連のウェブサイトによると、クラスター爆弾を巡っては2008年、国連に加盟する100カ国以上が禁止条約に署名したが、ウクライナとロシアはいずれも署名していない。