イラクのクルド人部隊、シリア北部で参戦開始か
(CNN) シリア北部アインアルアラブ(クルド名コバニ)市でのイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)とクルド人部隊の攻防で、トルコのアナトリア通信は30日までにイラク北部のクルド地域政府の治安部隊が空路でトルコ入りし、対シリア国境へ向かったと伝えた。
治安部隊「ペシュメルガ」の幹部は28日の時点で、クルド人支援のため間もなくアインアルアラブに向かうと発言しており、29日にも同市に入り、参戦している可能性がある。
アナトリア通信によると、計161人のペシュメルガ部隊は29日未明、イラク北部アルビルからトルコ・ウルファに空路到着。その後、ミニバス6台に分乗し、対シリア国境へ向かった。
これとは別に同部隊用の兵器類を積んだ車列が陸路でトルコ内に入った。重火器類などが含まれているとみられる。
一方、シリアのアサド政権打倒を目指す反体制派「自由シリア軍」の戦闘員約200人も29日の夜明けにアインアルアラブに入った。同軍の司令官はCNNの電話取材に、迫撃砲や重火器類などで武装していると指摘。必要な事態が生じれば、今後増派するとも述べた。同市ではクルド人部隊と連携し、ISISと戦うとみられる。
ISISは今年9月中旬以降、アインアルアラブの包囲網を狭め、クルド人部隊などと一進一退の攻防を繰り返しているとされる。米軍なども同市周辺で空爆を続け、クルド人部隊を支援している。
重火器類を携行するペシュメルガ部隊の参戦は同市の防衛能力を強化しそうだが、米外交問題評議会の専門家は今回派遣された同部隊の規模は戦況を大きく左右する材料には成り得ないとも分析している。