圧政、飢え、人身売買 難民たちが地中海を目指す理由とは
3番目に多いとされるソマリア人は、極度の貧困や治安の悪化、性犯罪など深刻な人権侵害、食料や医薬品の不足といった危機的な状況で難民となる人が増えている。
IOMによれば、西アフリカのセネガル、マリ、ギアナ、ガンビアの出身者は経済的な理由から欧州を目指す20代の独身男性が多数を占めるという。これに対して赤十字とIOMは最近、セネガルから来た400人を本国に送還した。
イスラム過激派「ボコ・ハラム」が勢力を拡大しているナイジェリアからは、キリスト教徒の脱出者が増えている。
もう1つの現象として、人身売買されたアフリカの女性がリビアを経由してイタリアに送り込まれ、売春させられるケースも増えている。まだ難民全体に占める割合は少ないものの、2014年に人身売買されて欧州に送り込まれた女性の数は3倍に増えたという。
エリトリア人作家のアブ・バクル・カール氏は自身の経験をもとにした小説「アフリカン・タイタニックス(原題)」で、新しい生活を夢見ながら船の沈没に巻き込まれ、波にのまれる難民たちの悲劇を描いている。