タリバーンがオマル師の死亡認める 組織内で分裂も
こうした内部抗争の展開は、タリバーンとアフガン政権の次回の和平交渉が開かれれば明らかになるとの見方もある。ただ、間もなく交渉が行われるという情報は、タリバーン側が否定した。
パキスタン外務省も、31日にパキスタンで始まる予定だった2回目の和平交渉は延期になったと発表している。
政治コンサルタント会社のソウファン・グループは30日、「オマル師の死亡はアフガニスタンの和平を一層遠のかせ、タリバーン内部の分裂を引き起こす」と分析した。
米中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)の幹部だったフィリップ・マッド氏は、オマル師には独特の権威があったと述べ、同師ほどの資質を持った指導者のいる武装組織は簡単には見つからないと指摘する。
その権威はパキスタンの「パキスタン・タリバーン運動(TTP)」にも及んだ。TTPはISISの掲げる「カリフ制(預言者ムハンマドの後継者でイスラム世界の最高指導者であるカリフによる統治)」を否定し、タリバーンとアルカイダを称賛していた。
オマル師の死が明らかになったことで、タリバーンは和平派と強硬派に分裂するとソウファン・グループは予想。「大きな勝者はISISかもしれない。ISISのアブバクル・バグダディ最高指導者は自らをカリフと称して以来、オマル師の血統や資質では自分には対抗できないと主張している」と解説する。