なぜ「広島」を忘れてはならないのか 岸田外相が寄稿
日本はこれまでと同様にこれからも、国際原子力機関(IAEA)の保障措置制度の強化を積極的に支持していく。こうした措置は核物質の非平和的な利用への転用を防ぐ上で不可欠なものである。またアジアおよび世界における、輸出管理の厳格化にも引き続き取り組んでいく。
いうまでもなく、現在イランをめぐる核合意が世界中の関心を集めている。歓迎すべき合意であり、その内容が着実に実施されることを期待する。これらの措置を検証するにあたって、我々はIAEAが果たす極めて重要な役割と、天野之弥事務局長の強いリーダーシップを完全に支持するものである。
今月には包括的核実験禁止条約(CTBT)に関する賢人グループ会合が、また来年4月には先進7カ国(G7)外相会合がいずれも広島で開催される。それらの場で、ここまで挙げた全ての課題が議論されるのを期待する。
安倍晋三首相とオバマ米大統領は4月、核兵器不拡散条約に関する共同声明の中で以下のように述べた。「広島及び長崎の被爆70年において、我々は、核兵器使用の壊滅的で非人道的な結末を思い起こす。広島と長崎は永遠に世界の記憶に刻み込まれるであろう」
この声明から明らかなように、我々が後世に残すべき遺産とはたった一つのシンプルなものである。すなわち、日本が核兵器の被害に遭った地球上で最初にして最後の場所であり続けるということだ。
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岸田文雄氏は日本の外務大臣です。記事における見解は同氏のものです。
この記事は米CNN.comに掲載された英文記事を翻訳したものです。