世界が直面する3つの大きな課題 安倍首相が寄稿
(CNN) 先進国と新興国の双方を含む世界経済の減速は、我々が傍観して経済成長が起きるまで待つことはできないことを気づかせる。むしろ指導者は、政策が世界に与える影響に留意しつつ、継続的に改革とイノベーションを推し進めていかなければならない。
しかし、国際社会が多くの課題に直面する中、我々が優先して取り組むべき事項は何だろうか。そして、その優先事項を実現するために、我々はどのように協力できるのだろうか。これらが、7日からドイツで開催される今年の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)に出席する世界の指導者が直面する大きな問題だ。
サミットでの議論は広範に及ぶだろうが、私がG7で強調したい重要課題は3つある。私はそれらの課題で、日本が中心的な役割を果たすことができると信じている。
気候変動。今年後半に開催される国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に国際的な枠組み作りが試みられる中、G7サミットは指導者が気候変動に関する戦略を調整する理想的な討論の場だ。私は他のG7諸国に匹敵する目標を設定しようとしている。目標は野心的でもあるが、我々が実行している技術と方法を使えば達成可能だと信じている。
その目標が他のG7諸国の目標に匹敵し、また同様に野心的であるとどうして言えるのか。私はサミットで、2030年までに温室効果ガスを直近の排出量と比べて26%削減(2005年の排出量と比べて25%削減)する目標を提示する。これは、直近の排出量と比較して欧州連合(EU)が24%、米国が25年までに18~21%を削減すると設定している目標に匹敵する。
実際に、日本の単位GDP当たりのエネルギー消費は他のG7諸国の平均より既に約30%少なく、世界でトップレベルの実績をあげている。我々はそれをさらに良くしたい――2030年までにエネルギー効率の35%改善を目標に――と望む。再生可能エネルギーの利用を増やすことで――現在の太陽エネルギーの能力を7倍に、風力や地熱の能力を4倍に増やすことを含む――これが可能になると信じている。