世界が直面する3つの大きな課題 安倍首相が寄稿
私は日本の過去の成果に安住せず、我々は排出削減に関する具体的な行動に向けて作業を続けていく。我々が行動することが重要だ。なぜなら、気候変動は先進国、途上国を問わず、すべての国にとってますます深刻な問題になっている――いくつかの新興国で、先進国より多くの温室効果ガスを排出しているのを我々は目の当たりにしている――からだ。最大の課題は、中国やインドのような主要な排出国が、自国にとってのこの問題の深刻さを認識し、国際的な枠組みの下で排出量の削減を約束することだ。
日本はぜい弱な途上国が排出に関して前進するのを支援する。実際、我々は2013年からの3年間で約160億ドルの支援を約束したが、この目標は約1年半で達成した。我々はまた緑の気候基金(GCF)に、米国に次ぐ15億ドルを拠出する。加えて、日本の先進技術の利用を通じて、世界が劇的にエネルギー効率を高め、世界全体の温室効果ガス排出量を減らしていくことを期待する。さらに私は、世界の産業界と学界、政府の協力を通じて、エネルギーと環境の分野におけるイノベーションを促進するために、イノベーション・フォー・クールアース・フォーラム(ICEF)を提唱した。昨年のICEFの初会合には80カ国から800人が参加し、この成功を積み上げていくために、我々は毎年このフォーラムを開催していく。
美しい惑星を未来の世代に引き継いでいくことは我々の世代の義務であり、日本がこの取り組みで先頭に立つことを私は決意した。
質の高いインフラ。現在と将来の福祉を向上させる質の高い成長を維持するために、発展途上国は質の高いインフラの存在を必要としている。
アジアだけでも、年間約1兆ドルのインフラ投資の必要がある。質を備えた新たなインフラは最初はコストが高く見えるかもしれないが、長い目でみれば、費用対効果がより高く、より丈夫で、自然災害により強く、環境にもより優しいことがわかる。
我々がこの投資に資金を投入するための資本を確保することは、様々な民間分野の資金を動かすことを意味する。従って、私はアジア開発銀行(ADB)が投融資の能力を拡大することを歓迎する。この取り組みを支えるために、国際協力機構(JICA)は、ADBと共同で、アジアの官民連携(PPP)インフラプロジェクトに関して、協調融資を含む効率的な協業のメカニズムを検討する。我々は世界規模で質の高いインフラへの投資を促進する。アジア域内では、日本はADBと共同で、今後5年間で1100億ドル規模の革新的なインフラの資金融資を行う。