サウジとイランの対立、近隣諸国にも拡大
ロシア外務省は声明で、中東情勢の悪化を懸念していると述べ、サウジとイランの双方に自制を呼び掛けた。中国外務省も、事態を注視しているとしたうえで「全ての関係諸国が冷静さを保って自制し、対話と交渉によって適切な問題解決を図ることを望む」と述べた。
サウジの在テヘラン大使館が抗議デモ隊に襲われたことについて、イラン外務省の報道官は4日、襲撃犯の責任を追及するなど、外交官の保護を定めた国際協定に基づいて適切な措置を取っていると強調。一方でサウジに対しては、この件を口実に宗派間対立をあおっていると非難する見方を示した。
専門家らは、事態が今後、手に負えなくなるほど悪化する恐れもあるとの懸念を示す。サウジとイランはそれぞれスンニ派、シーア派の盟主を自認する大国であるうえ、産油国として長年のライバル関係にある。これまで近隣諸国で「代理戦争」を繰り広げてきたが、今回の対立が直接の軍事衝突に発展する可能性も指摘されている。
米コンサルティング会社、ユーラシア・グループを率いる政治学者のイアン・ブレマー氏によれば、両国の内政事情による影響も考慮する必要がある。
サウジは原油価格の急落に加え、王室の後継者争いという問題を抱えている。イランは最近の核合意を受け、改革派の勢力伸長や欧米の進出を食い止める必要に迫られている。
双方とも国内向けにナショナリズムを強調するのが得策となれば、「非常に危険な争い」に発展すると、ブレマー氏は警告している。