集団虐殺、連れ去られた子どもたち イラクの街に残る傷跡
ISISは今も少年兵を集めようと躍起になっている。米軍関係者によれば、イラクの要衝ラマディを失ったことで焦りを感じ、熟練戦闘員を前線から撤収させて、代わりに子どもに見張りをさせたり自爆テロを実行させたりしているという。
避難民キャンプに暮らすガザル・イッサ・オマルさんは、ISISに連れ去られた8歳と10歳の息子との再会を果たした。子どもたちはモスルに連れて行かれて監禁され、空爆の盾として使われたという。「子どもたちを目立つように立たせておけば、航空機がそれを見付けて爆撃を思いとどまる」(ガザルさん)
8歳のイマーン君も、10歳のアシム君も、モスルで激しい暴行を受けたと振り返る。「夜になって飛行機が来た時が一番怖かった。暗闇の中でみんなが身を寄せ合って、互いにしがみついていた」とアシム君。それでも泣き声を上げればISISに殴られると思い、必死にこらえたという。
初めて声を上げて泣いたのは、脱出に成功して母親と再会できた時だった。
シンジャル郊外に戻ると、近郊のISIS野営地に砲弾が撃ち込まれ、煙が上がる様子が見えた。シャンガリ市長は地面から子どもの頭蓋骨(ずがいこつ)と思われる破片を拾い上げ、そっと埋葬地の上に置いた。
いつかここが安全になり、調査ができるようになったら、がれきの下に眠っている子どもたちの身元を突き止めたいと市長は話した。