デンマーク、難民の財産没収法を可決 欧州の強硬姿勢に拍車
デンマーク議会では、難民認定申請者が離れ離れになった家族の呼び寄せを申請できるようになるまでの期間を1年から3年に延長する法案についても採決が行われた。右派・デンマーク国民党の広報は、「家族を連れてくるのが難しくなれば、デンマークに来る人の数は減る」と話す。
デンマークに滞在しているシリア難民の女性は、これでシリアに残してきた9歳の娘を呼び寄せるのが難しくなるため、デンマークに在留する気はなくなったといい、「もし私がここで死ねば、娘は自分の母親がどこに埋葬されたのかも分からなくなる」と語った。
国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルや赤十字、国連難民高等弁務官事務所などもデンマークの対応を批判。国民からも、ナチス・ドイツがユダヤ人の貴重品を没収した歴史を思い起こさせるといった声が上がっている。
こうした政策は、スカンジナビア諸国や欧州全土で難民に対する強硬姿勢が強まっている傾向を物語る。欧州には昨年だけで100万人を超す難民が流入。積極的に受け入れる姿勢を示してきたスウェーデンやドイツでさえも、増え続ける難民の数や、難民が関与したとされる事件が大きく報じられたことを受け、徐々に反感が強まりつつある。
スウェーデンは昨年11月から国境警備を強化して、同国に流入する難民を減らすための規定を導入した。ノルウェーは先週、ロシアとの国境を越えて入国しようとした難民の送還に踏み切っている。