仏司法相が辞任、テロ対策での国籍剥奪案を批判
パリ(CNN) フランス大統領府は28日までに、同国のクリスチャーヌ・トビラ司法相が辞任を申し出て、オランド大統領がこれを承諾したとの声明を発表した。
同大統領が実現を図る、テロ関連犯罪などで有罪と決まった二重国籍者からの仏国籍剥奪(はくだつ)を盛り込む憲法改正に関する意見対立が辞任理由となっている。
後任の司法相には、下院法務委員会のジャンジャック・ユルボアス委員長を起用した。大統領府の声明は、同委員長は憲法改正を支持していると述べた。
オランド大統領は、首都パリで昨年11月に起きた同時多発テロ後、二重国籍者から国籍剥奪を認める憲法改正を模索。大統領は過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が引き起こした同事件後、フランスはISISとの戦争状態にあるとも宣言していた。
ISISに加わった仏国籍者は数百人規模とされる。
国籍剥奪を狙う憲法改正については異論も出され、トビラ氏もその1人だった。南米の仏領ギアナ出身の前司法相は27日、記者団に辞任を決めた理由は重要だと強調。自分自身、信念や価値観などに誠実であることを重視して決めたと明かした。
テロの脅威は重大と受け止めながらも、国籍剥奪の議論はフランスの建国理念とは相いれないなどとも主張した。辞意を表明した27日にはツイッター上で「抵抗するためとどまることもあれば、去ることもある」とも述べていた。