英電車内で人種差別的な言動、若者3人逮捕 憎悪犯罪が増加
(CNN) 英中部マンチェスターの警察は28日朝、路面電車の中で非白人系とみられる男性に対し暴言を吐くなどの嫌がらせをしたとして、若者3人を逮捕した。
現場を撮影したビデオでは、数人の男が男性通勤客に「移民」「アフリカへ帰れ」などの言葉を投げつけ、激しい口論を起こしている。男たちはビール瓶を持っていて、1人が男性に瓶をぶつけようとする場面もあった。
嫌がらせを受けた男性は1人の男に10代かと尋ね、自分はそれよりも長く英国に住んでいると告げた。周囲の通勤客らは男性の防御に回ったとみられる。
このビデオはインターネット上に投稿されて物議をかもした。
マンチェスター都市圏の警察によると、16歳と18歳、20歳の男が公共の場で騒ぎを起こした疑いで逮捕された。3人の身元は公表されていない。
英国では国民投票で欧州連合(EU)からの離脱派が勝利した後、ヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増している。警察系情報サイトによると、先週末に報告された件数は57%の増加を示した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは28日、人種差別的な嫌がらせの増加に対処するため、新たなキャンペーンを実施すると発表した。
アムネスティ英国支部のケイト・アレン事務局長は「一部の人々の間に今、人種差別的な考えを表に出してもいいという感覚が広まっている。こんな状況は過去数十年間みられなかった」と指摘。国民投票のキャンペーンが国内を分断し、外国人への嫌悪をあおったことが原因だと述べ、「憎悪が英国の規範になってしまうのを見過ごすわけにはいかない」と強調した。