米軍機が極東ロシアに緊急着陸 装置不具合で
ワシントン(CNN) 米ロ間の政治的緊張が高まる中、米国防総省は30日までに、米軍の観測機が極東ハバロフスクの滑走路に緊急着陸したと発表した。両国とも冷静に事態に対処したとしている。
緊急着陸があったのは27日。米軍の観測機OC135Bの着陸装置に不具合が生じ機体に格納できなくなったため、ハバロフスクにある滑走路に緊急着陸することを余儀なくされた。
同機はシベリア南部のウランウデにあるロシアの空港を離陸し、「オープンスカイ条約」に基づく定例の観測飛行を行う予定だった。
同条約は非武装の観測機をお互いの領域上空で飛行させることを認めたもの。飛行は両国の信頼醸成の一環で行われ、カメラやセンサーを用いた情報収集は一定の条件に従う必要がある。同機にはロシア側の監視員らも搭乗していた。
国防総省の報道官によると、米軍の指揮官はロシア側の協力を得たうえで、最短経路でロシアから脱出するため、急きょ針路を変更して同機をハバロフスクに向かわせたという。夏の高温に伴う航空機の性能制限や着陸装置の不具合を考慮すると、ハバロフスクの空港が唯一安全に着陸できる滑走路だったとしている。
ロシア側は飛行中の観測画像の収集はなかったと確認した。同機は修理を行うため日本に向けて離陸した。
国防総省は今回の件について、スパイ任務ではないと強調した。機内のセンサー機器などは全てロシア側が監視できる取り決めとなっている。