ロシア侵略に備え抵抗手段の「国民手引書」 リトアニア
(CNN) バルト海に面するリトアニアは28日、同国がロシアに侵攻された場合、国民約300万人に促す自衛や抵抗手段などを網羅した手引書を公表した。2年前にウクライナ・クリミア半島を併合するなどの強硬路線をためらわないロシアの脅威に備えたものとなっている。
リトアニアがこの種の手引書を発表するのはクリミア半島併合以後、3度目。昨年12月にも出していた。今回の最新版は75ページにわたるもので「緊急事態と戦争を乗り切る準備を」とのタイトルが付けられている。3万部刷られ、学校や図書館に配られる予定。インターネットでも公開される。
内容的にはロシアがリトアニアの一部の占領に成功した場合の国民のスパイ活動の在り方などを説明。ロシアの戦車、手りゅう弾、地雷や銃などの画像も載せ、種類の違いなどの識別方法も紹介。医療的な応急処置や野外でのサバイバル方法にも触れている。
また、ウクライナ情勢に言及し、「ロシアは隣国に対し軍事力行使を逡巡(しゅんじゅん)しない」と断定。ロシアが侵略行動の初期段階に用いる「否定と曖昧(あいまい)さ」の手段に触れ、「国民がこの手法に気付き、抵抗することが最も重要」と呼び掛け、この心構えが強ければ侵略者が軍事的侵攻に踏み切ることが出来る状況の創出が難しくなると強調した。
リトアニアのユオザス・オレカス国防相はCNNの取材に手引書の作成について、「いかなる侵略者も我々の社会や軍から強い抵抗を受けることを明確にするもの」と言明した。ロシアの動きを念頭に置いたリトアニアの備えは当分緩和されないとし、「プーチン大統領は力には力の原則のみを理解しているだろう」とも語った。