ISISがいなくなった町で<1> 散髪にひげそり、理髪店が大忙し
イラク北部アルファズリヤ(CNN) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がイラク最大の拠点として支配してきた北部モスルに対する奪還作戦が進むなか、近郊の町や村が次々と解放され、住民らが自由を謳歌(おうか)している。モスルの北約20キロの町、アルファズリヤにCNN取材班が入った。
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少年たちが割れた窓ガラスを通してのぞき込むのは、小さな理髪店の店内だ。男性がひげをそりに来ている。見慣れない光景に、戸惑いの表情をみせる幼子もいる。
かみそりを手にしたアフメド・ウサマさん自身も、腕がなまってしまったとこぼす。この2年間の仕事はISIS公認の散髪ばかりで、ひげそりは禁止されていたからだ。
わずか5キロ先にはISISの拠点があった。モスル奪還作戦に参加して進軍を続けるクルド地域政府の治安部隊「ペシュメルガ」がこの町にやって来てISISを追放した。以来ずっと、アフメドさんははさみを置く暇がない。大人の男性も少年たちも、合わせて200人以上が散髪とひげそりに訪れた。
「悪夢が終わってみんな喜んでいる。お祭り騒ぎの毎日だ」とアフメドさん。喜びを形にしたくて散髪する客も多い。ISIS支配下で規則違反の髪型にした者は、1カ月も投獄される恐れがあった。
ISISが去ってからは、禁じられていた流行の髪型を希望する客が後を絶たない。
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次回「ISISがいなくなった町で<2> ジーンズもたばこも自由の証し」は11月5日公開