キューバのカストロ前議長が死去、90歳
フィデル氏による47年間の統治下のキューバでは米国を目指す難民の脱出が相次ぎ、同氏は自国に近い米フロリダ州での犯罪発生件数を増やすため故意に獄中の受刑者の脱走を黙認しているとの見方もあった。米政府はキューバ革命などに伴い、65~73年に米国入国を望むキューバ人26万人以上を空路で輸送する作戦も遂行していた。前議長は80年に追加の12万5000人の出国を認めてもいたとされる。
米国とキューバの関係はその後も厳しい対立状態が続いたが、オバマ米大統領は2014年12月、キューバとの国交正常化交渉を電撃的に発表。昨年7月に国交を回復していた。オバマ氏は今年3月には米国大統領としては88年ぶりのキューバ訪問にも踏み切っていた。関係正常化の流れの中で米国はキューバに対する経済制裁も段階的に解除していた。
ただ、前議長は対米関係の改善が進む中でも米国への警戒感を捨てない言動を国営メディアなどを通じて示していた。
フィデル・カストロ氏はかつて、米中央情報局(CIA)や1960年代に米国などに逃れた反政府勢力による多数の暗殺未遂に触れ、全て失敗したことをちゃかしたこともある。普通の葉巻の中に爆発物が仕掛けられていたとする試みも明かしたこともある。その後、健康維持を理由に禁煙を宣言していた。
2002年には「死を恐れたことは今までにない」との心境も漏らしていた。