キューバのカストロ前議長が死去、90歳
(CNN) キューバのラウル・カストロ国家評議会議長は26日、国営テレビを通じ、実兄でもあるフィデル・カストロ前国家評議会議長が死去したと発表した。90歳だった。
前議長は2006年に腸内出血が発覚して手術を受けた後、指導者としての職務から徐々に外れ、療養生活を送っていた。最近は表舞台に出ることがなく臆測も呼んでいた。
死去した日時や死因などは伝えられていない。
学生運動指導者などの経歴を持つ前議長は1959年のキューバ革命で国民の支持を失っていた米国寄りのバティスタ独裁政権を打倒。その後は社会主義路線をまい進し、米国とも断交した。冷戦時代の62年には関係を強化していた旧ソ連によるミサイル基地建設が原因でキューバ危機が発生。米国は海上封鎖の強硬措置に踏み切り、米ソ間で核戦争勃発(ぼっぱつ)も危惧される事態となっていた。米国は同年、キューバに対する全面禁輸を打ち出してもいた。
米大陸で初の共産主義政権を樹立した前議長は反米路線を維持し、革命の寵児(ちょうじ)とのイメージも重なって中南米諸国に大きな影響を与えたとされる。ただ、国内で進めた経済改革などは期待通りの成果を収められなかったとの指摘もある。