大気汚染が広げる北京の環境格差<5> ターニングポイントは

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大気汚染厳しい北京、その暮らしとは

北京(CNN) 大気汚染がひどい時期にマスクなどのネット販売が急増する背景には、可処分所得が少ない層は大気汚染が手に負えないほど悪化するまで、対策について考える時間もお金もないという事情があるとみられる。

前回「大気汚染が広げる北京の環境格差<4> 環境問題を商機に」はこちら

そうした人たちは常に効果のある製品を購入できるわけではなく、多くの安価な選択肢はそもそも効果がないこともある。

虚偽広告を告発する声も出始めた。英紙フィナンシャル・タイムズによれば、心配になった母親らがきれいな空気をうたうショッピングモールで調査したところ、宣伝されているほど安全ではないことが判明したという。

貧困層と富裕層の間で自衛措置への投資性向に差が見られる点について、米・南カリフォルニア大学のマシュー・カーン氏らは、「貧困層の人々のほうがより大きなリスクにさらされており、大気汚染が中国の都市部における生活の質の不平等を悪化させていることを示唆している」と指摘する。

それでも、カーン氏らは、将来については楽観視している。「クズネッツ曲線」のためだ。

クズネッツ曲線では、1人あたりの所得が増大するにつれ環境破壊も拡大するが、それは一定程度までだと想定。日々の暮らしに忙殺されずに済むだけの可処分所得が手に入れば、汚染について心配し対策を打ち出したり、指導者の責任を追及したりする余裕もできるという見方だ。

北京在住のワンさんは娘たちのために、こうした日が早く来て欲しいと願っている。「私たちにとっても誰にとっても、健康が第一だ」「健康がなければ何もできない」と話す。

連載終わり

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