北朝鮮ミサイル発射、時期と着弾点で中ロも「刺激」か
北京(CNN) 北朝鮮による新型地対地弾道ミサイルの発射実験は、中国が開催した国際会議と時を同じくして実施された。こうした動きに対して、専門家からは、中国やロシアを刺激する可能性を指摘する声があがっている。
北朝鮮は14日、同国北西部で新型地対地弾道ミサイル「火星12型」の発射実験を実施した。中国の習近平(シーチンピン)国家主席は同日、中国が主導する「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)の国際会議を北京で開催していた。
専門家からは、技術的な判断や天候といった要素もあるため、ミサイル発射の政治的なタイミングについて深読みしすぎないように注意すべきとの指摘もあるものの、中国政府が今回の動きを歓迎しないとの見方では一致する。
カーネギー清華グローバル政策センターの専門家トン・ジャオ氏は「中国はものすごく気分を害するだろう」と指摘する。ジャオ氏によれば、米国が北朝鮮の核開発抑止に向けて中国に対する圧力を強めるなか、中朝関係は悪化している。
北朝鮮の国営メディアは先ごろ、「越えてはならない一線」を越えたとして中国を非難していた。
ジャオ氏は、北朝鮮のミサイル実験について、米国やその同盟国による核などの脅威に対する対応だとの見方を示す。
ミサイル発射については、ロシアのプーチン大統領も歓迎しない公算が大きい。米当局によれば、ミサイルはウラジオストク地域から南へ60マイル(約97キロ)離れた海域に着弾した。ウラジオストクにはロシア軍の太平洋艦隊の司令部がある。
オーストラリア・ローウィ研究所の北朝鮮専門家ユアン・グラハム氏は、北朝鮮がこれほどロシアに近い場所にミサイルを着弾させた理由はわからないとしながらも、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による自滅的な動きに見えると指摘。「ロシアはこれまで、より強力な制裁を進めたいという様子を見せていない」と述べる。