グアンタナモ収容、元少年に和解金9億円と謝罪 カナダ政府
(CNN) 15歳の時から10年間にわたってキューバのグアンタナモ米軍基地に収容され、虐待を受けたと主張しているカナダ人のオマル・カドルさん(30)がカナダ政府の責任を追及していた裁判で、政府側がカドルさんに1050万カナダドル(約9億円)の和解金を支払い、謝罪することが決まった。カナダ地元紙が4日に伝えた。
カドルさんは2002年、15歳の時にアフガニスタンで米軍との戦闘に参加し、手投げ弾で米兵1人を殺害、もう1人に重傷を負わせたとして、グアンタナモ基地に収容された。
収監中の2010年に、母国カナダへの移送と引き換えに手投げ弾を投げた罪などを認める取引が成立。改めて禁錮8年の刑を言い渡された。12年にカナダへ身柄を移され、15年に保釈されている。
カドルさんは15年、カナダ紙とのインタビューで、実際には自分の手投げ弾で米兵が死亡したのかどうか分からないと主張。グアンタナモ基地で虐待を受け、脱出したい一心で罪を認めたと話した。カドルさんは現在も無罪を主張して争っている。
カドルさんはさらに、カナダ政府が国際法に反して自国民の保護を怠り、グアンタナモ基地と共謀したとして、2000万カナダドルの支払いを求めて訴えていた。
カドルさんはグアンタナモ基地で最年少の収容者だった。支援者らはカドルさんが受けた虐待を非難してきたのに対し、米軍は収容者への虐待を否定している。
当時の手投げ弾で重傷を負い、片目を失明した米兵は、カドルさんの父が国際テロ組織アルカイダに加わっていたとされる経緯を指摘。「カナダ政府でなくカドル一族のほうが謝罪するべきだ」と、怒りをあらわにした。