北朝鮮、小火器の違法輸出続行 収益源に 報告書
香港(CNNMoney) スイスのジュネーブ国際・開発研究大学院は16日までに、国際的な小火器取引に関する新たな調査報告書をまとめ、核開発などに絡む経済制裁が科される北朝鮮が依然、小火器輸出で数百万米ドル規模の収益を得ていると結論付けた。
小火器の違法輸出では最悪の国の1つとも位置付けた。ただ、報告書の作成者の1人は北朝鮮による小火器取引の実態を示す一部情報は示せたものの、活動の全容解明にはつながっていないと指摘。
取引が秘密に包まれ、全体像を把握するためには公になった兵器の押収量などに頼らざるを得なかったとした。取引に関する文書記録も参考材料にしたとし、これらのデータを踏まえる限り、北朝鮮は主要な小火器輸出国であると判断した。
北朝鮮の兵器輸出に関連してはエジプトで昨年8月、約3万個のロケット弾を含む計132トン分が北朝鮮船で差し押さえられる騒ぎがあった。09年にはタイでロケット弾発射装置などの北朝鮮製兵器が隠されたコンテナ10個が貨物機内で見付かった。
国連調査によると、最近押収された北朝鮮の違法な貨物の行き先はイラン、シリアやキューバなどで、一部貨物の価格は少なくとも1000万ドルと見積もられた。
同大学院の報告書によると、北朝鮮の小火器の顧客はコンゴ民主共和国(旧ザイール)、エチオピア、ナミビアやイエメンなど。これら諸国は小火器や弾薬開発工場で北朝鮮から支援を受けているともした。
国連による北朝鮮製小火器の禁輸制裁は09年にさかのぼる。軽火器用の弾薬輸出も禁止された。
同調査報告書によると、北朝鮮と並び水面下の小火器取引で活発な活動を示すのはイランとサウジアラビアとなっている。