ムガベ大統領を親善大使に指名、批判招き再考表明 WHO
(CNN) 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は22日までに、ジンバブエのムガベ大統領(93)をWHO親善大使に指名したことに批判が殺到したことを受け、今回の人事を「再考する」と述べた。
大使指名は最近発表されたもので、ムガベ氏によるアフリカ大陸での心臓発作や脳卒中など非伝染性疾病の対策への注力を期待していた。しかし、ムガベ氏は長年、汚職や権力乱用で非難を受け、衛生保健の専門家や人権団体は親善大使任命の措置に驚きを表明。ジンバブエ内の衛生保健制度は崩壊状態との指摘も出ていた。
テドロス氏はエチオピア出身で、アフリカからは初の事務局長。同氏はムガベ氏の親善大使の指名に当たり、「ジンバブエは国民全員を対象にした衛生保健を中心的な政策課題にしている」などと評価していた。
ムガベ氏はアフリカ諸国の中で最長の政治指導者の1人で、ジンバブエを1980年から統治。ただ、強権政治で反対勢力を締め付け、国内経済は失政で疲弊状態にあるともされる。米国は人権侵害などを理由に2000年代初期から同氏や側近を経済制裁の対象にしている。
WHO親善大使の任期は2年で、事務局長が指名する。ムガベ氏の選出は南米ウルグアイでの会合で今月18日発表された。しかし、会合に参加していた25の保健衛生関連組織は共同声明を発表し、大使指名への戸惑いと懸念を表明。ムガベ氏の自国内における優先的な非伝染性疾病対策への貢献は認めながらも、長年の人権侵害の過去にも注意を向けていた。