存在感増す中国の対外援助、透明性欠如に懸念の声も
香港(CNN) トランプ米大統領が「米国第一」政策の下で対外援助の大幅削減を求めるなか、その空白を中国が埋め、発展途上国の大半について、中国が援助国の筆頭に躍り出る可能性がある――。米開発援助調査機関「エイドデータ」が報告書の中で、そんな見通しを示している。
中国の資金がどのように使われるかといった点や、援助が受け入れ国にどのような影響を与えるかといった点について透明性が欠如しており、大きな懸念材料だという。
エイドデータの政策分析責任者、サマンサ・カスター氏は「米国がその言説を実行に移して世界での存在感を縮小させた場合、その間隙(かんげき)を埋め、発展途上世界への援助や融資を行う筆頭国としての役割を確固たるものにするうえで、中国は絶好の位置にいると言えるかもしれない」と話す。
今回の報告書は中国の対外援助プログラムの分析としてこれまでで最も詳細なもののひとつだ。
これによれば、中国の援助の多くはアフリカ諸国に向かっている。
プロジェクトの規模でみると、アフリカの国は中国援助の受け入れ上位10カ国のうち7カ国を占める。アンゴラとエチオピアは2000年から14年にかけて、合わせて320億ドル(約3兆5000億円)近い中国資金を受け取った。
ただ、こうした援助の多くは「情報のブラックホール」の中で行われている。エイドデータの幹部ブラッド・パークス氏はCNNに、「中国政府は海外開発プログラムの詳細を国家機密とみなしている」と指摘した。
中国は2000年から14年にかけて、140カ国のプロジェクト4300件以上に3540億ドル規模を投入した。
同じ時期の米国による対外援助の総額は3940億ドルと、これをわずかに上回るに過ぎない。実際、中国は調査対象となった15年間のうち5年で米国の援助額を上回っているという。