ローマ法王、「ロヒンギャ」の呼称使う 南アジア歴訪で初
ダッカ(CNN) ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャが隣国バングラデシュに大量に避難している件に関連し、ローマ法王フランシスコは1日、訪問先のバングラで「神の存在は今日、ロヒンギャとも呼ばれている」と述べ、「ロヒンギャ」の呼称に言及した。法王が今回の南アジア歴訪でロヒンギャに直接言及したのは初めて。
バングラの首都ダッカでさまざまな宗教の信仰者に向けて演説した後に述べた。
今週初めに訪問したミャンマーでは、法王は公の場でロヒンギャという言葉を使わず、支援活動に当たる人々を失望させていた。ロヒンギャが同国での暴力を逃れて難民化している惨状は国際社会から非難の対象となっている。
法王は演説後、ロヒンギャ難民の一団の一人ひとりと面会し、祝福を与えたり証言に耳を傾けたりした。
法王はこの中で、「あなた方の悲劇は非常につらく大きい。我々はあなた方のことを心に留めている」と言及。「あらゆる人、あなた方を迫害した人々、あなた方を傷つけた人々、そして特に世界の無関心の名の下に、私はあなた方の許しを乞う。私たちを許してください」と語りかけた。
8月に一連の衝突が始まって以来、62万人以上のロヒンギャが国境を越えてミャンマーから隣国のバングラに避難した。その多くは、ミャンマー軍による残虐行為から逃れることを余儀なくされたと証言している。
ミャンマー政府はロヒンギャに言及する際、この言葉を使っていない。数世紀にわたりミャンマーに居住している人々もいるが、政府はロヒンギャをバングラから来た不法移民とみなしている。
法王は過去にロヒンギャの呼称を使ったことがあったが、ミャンマー訪問中に直接の言及を避けたことで、法王の道徳的権威が低下したとの指摘も出ていた。バチカンの報道官はこうした見方に異を唱え、「人々は法王が不可能な問題を解決できるとは期待していない」とも述べていた。