米大使館のエルサレム移転計画、トランプ氏がアラブ首脳に伝達
(CNN) 米国のトランプ大統領は5日、アラブ地域の首脳との電話で、イスラエルの米大使館を現在のテルアビブからエルサレムに移転する考えを明らかにした。イスラエルとパレスチナが帰属を争うエルサレムをイスラエルの首都と認めることを示唆する措置で、中東をはじめとする各地域から非難の声が上がっている。
トランプ氏は同日、パレスチナ解放機構(PLO)のアッバス議長、エジプトのシーシ大統領、サウジアラビアのサルマン国王、ヨルダンのアブドラ国王と電話で会談。米大使館をエルサレムへ移転する計画を伝えた。これを受けて4首脳はいずれも、計画に反対する声明を発表。地域の安定を損ない、近い将来における中東和平の望みが絶たれることになると警告した。
一方でトランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相とも言葉を交わした。同首相はエルサレムへの米大使館移転に向けて長年にわたりロビー活動を行ってきた。
米外交筋らがCNNに明らかにしたところによると、トランプ氏は6日にもエルサレムをイスラエルの首都と認め、米大使館を移転させる考えを発表する見通し。同時に移転を6カ月間先送りする文書にも署名するとみられる。
エルサレムの帰属については、イスラエルとパレスチナの和平交渉を通じ解決するべきだというのが国際社会の標準的な見方とされる。今回の米大使館の移転はこれに対立するものであり、米国の同盟国からも動揺や不満の声が上がっている。
米当局者らは、具体的な日程が明かされることはないだろうとしながらも、大統領選での公約に掲げていたエルサレムへの米大使館移転についてはトランプ氏が改めて実現を確約するとの見方を示した。