英ウェストミンスター宮殿老朽化、議会移転を可決 時期は未定
ロンドン(CNN) 英議会議事堂のあるウェストミンスター宮殿の老朽化が進んで火災発生などの危険が高まったとして、英下院は2日までに、修復作業に着手するため議会を別の場所に移す案を可決した。
世界一有名な議事堂とも称されるウェストミンスター宮殿だが、素晴らしい外観とは裏腹に、天井からは雨漏りがして、絡み合った配線や蒸気管は火災発生の原因になりかねず、配管にも不備があり、各所で危険なアスベストが充満している。
それでも対策に関する決定は、これまで何年も先延ばしにされてきた。
ただ、両院ともタイミングを見計らって宮殿を引き払うことで合意したものの、具体的にいつになるかは定めていない。当局者によれば、移転は早くても2025年になる見通しだという。
議会が改修にゴーサインを出すことを渋ってきたのは主に、他の公共サービスの予算を削減しておきながら、自分たちの建物のために多額を支出すればどうなるかを憂慮したことによる。
しかし専門家は、これ以上決定を先延ばしすることはできないと指摘していた。
ウェストミンスター宮殿はユネスコの世界遺産にも登録され、年間100万人以上の観光客が訪れる。現在の建物の大部分は1834年の大規模火災後に建てられたものだが、一部は11世紀にまでさかのぼる。このため修復作業は極めて複雑で、多額のコストを伴う。
2016年に発表された議会特別委員会の報告書では、火災のような大惨事や配管や配線などの連続的な不具合が積み重なって、議会が宮殿を使えなくなるリスクが増大していると指摘。宮殿を完全に引き払って修復作業を行うのが最善の選択だと勧告していた。