シリア首都近郊で化学兵器攻撃か、死者数十人 政権は否定
(CNN) シリアで活動する複数の団体によると、首都ダマスカス近郊の東グータに残る反体制派の拠点、ドゥーマ地区で7日、有毒ガスの使用が疑われる攻撃があり、市民数十人が死亡した。一方、政権側は化学兵器の使用を否定している。
現地の市民ボランティア組織「シリア民主防衛隊(通称・ホワイトヘルメッツ)」や反体制派「ドゥーマ調整委員会」「グータ・メディア・センター」などからの報告によると、ドゥーマ地区にはヘリコプターからたる爆弾が投下され、その中に封入されていたとみられる有毒ガスで市民らが呼吸困難などに陥った。
一方、国営シリア・アラブ通信(SANA)は「公式の情報筋」の話として、この報告は政府軍によるテロ拠点への進攻を妨げようとする「見え透いた試み」だと批判。「テロ系メディアが主張するような化学兵器」を政府軍が使う必要は「一切ない」と強調した。
現地からの画像には、仮設診療所で子どもを含む市民らが口から泡を吹くなどして横たわる姿が写っている。ただし画像が本物かどうかの確認は取れていない。
国際医療団体「シリア医療救援組織連合(UOSSM)」は現地の医師や活動家からの報告に基づき、「化学物質またはガスによるとみられる攻撃で少なくとも25人が死亡、500人が負傷した」と発表した。
米国務省当局者はCNNに、ドゥーマ地区の病院付近で化学兵器による攻撃があったとする「複数の極めて憂慮すべき」報告を受けたと語り、シリア政権が自国民に対して化学兵器を使用してきた前歴に「議論の余地はない」と指摘。
さらに「最終的な責任はロシアにある」と改めて主張し、ロシアがシリアのアサド政権を支援していること、化学兵器の使用を阻止できていないことを非難した。