ルラ元大統領、出頭命令に応じず 労組建物にとどまる ブラジル
(CNN) 収賄などの罪で有罪判決を受けたブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ元大統領は6日、連邦当局への出頭命令に応じず、労働組合の建物にとどまった。前日に出た拘束令状ではルラ氏に対し、12年の禁錮刑の服役を開始するため南部クリチバの警察に現地時間6日午後5時までに出頭するよう求めていた。
ルラ氏はクリチバから約420キロ離れたサンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポにある金属労組の本部にとどまっている。付近には大勢の支持者が集まり、抗議を行った。
ルラ氏をめぐっては先に、収監延期を目的とした人身保護請求を最高裁が却下。これを受け、連邦判事が5日に身柄拘束を命令していた。
ルラ氏は2003年から11年までブラジル大統領を務めた。10月に予定される大統領選挙での筆頭候補とみられていたが、最高裁が保護請求を退ける判断を示したことで、再就任に向けた動きには暗雲が漂っている。
控訴裁判所は1月下旬、汚職や資金洗浄の罪での有罪判決を支持する判断を示し、禁錮12年の量刑を言い渡した。一審では昨年7月に有罪判決が出ていた。
ルラ氏は不正があったことを強く否定。弁護チームは、ルラ氏は政治的迫害の犠牲者だと主張してきた。
ルラ氏の有罪判決は、国営石油会社ペトロブラスをめぐる大規模な汚職捜査に端を発している。11年の大統領退任後に容疑が浮上。サンパウロ近郊の海沿いの街で行われたマンション改修から利益を得た罪に問われた。建設大手OASから370万レアル(現在のレートで約1億1800万円)相当のマンションの部屋を賄賂として受け取り、その見返りとしてペトロブラスとの契約を後押ししたとされる。