ネット通販から聖書が消えた 宗教統制強める中国
(CNN) 中国政府が宗教に対する統制を強めている。インターネットの通販サイトでは、キリスト教の聖書が入手できなくなった。
聖書の販売はこれまでも政府の規制がかけられ、印刷や販売ができるのは国の認可を受けた教会のみとされていた。それでもここ数年は、インターネット通販でも購入できるようになっていた。
しかしその抜け穴はふさがれたらしい。中国の通販サイト「JD.com」で「聖書」を検索しても、結果は表示されなかった。中国版のアマゾンでは、聖書そのものは見つからず、参考書やコーランが表示された。
中国最大の通販サイト「淘宝(タオバオ)」で表示されたのは、「離乳食バイブル」「自己免疫疾患治療バイブル」などの検索結果のみ。ただ、子ども向けの聖書の物語のイラスト本など、関連商品はまだ表示されていた。
ネット通販業者2社はCNNの取材に対し、今も私的なメッセージを通じて聖書を販売することはできるかもしれないと説明した。ただ、淘宝に公然と聖書を掲載することはできなくなったという。
国際人権団体フリーダムハウスの研究員サラ・クック氏によると、中国当局はハイテク技術を使って宗教に対する統制を強め、インターネットで情報を交換している信者の監視や逮捕を行っているという。
中国では中国仏教、イスラム教、カトリック、プロテスタント、道教の5宗教が公認されているが、宗教活動は政府による厳しい規制がかけられ、公的機関によって監督されている。
専門家によると、中国政府による宗教統制は今、大きく転換しつつある。民族・宗教問題の管轄は最近になって、中国共産党の中央統一戦線工作部に引き継がれ、党による社会統制が一層強まった。
政府はこのほど発行した宗教の自由白書の中で、信教は「社会主義社会に順応しなければならない」と規定した。