パレスチナ人少年射殺の警官に禁錮9カ月の判決、イスラエル
エルサレム(CNN) 中東イスラエルの裁判所は25日、4年前イスラエルの国境を警備中にパレスチナ人の10代の少年を射殺した警察官に対し、禁錮9カ月の判決を下した。被告は当初故殺罪に問われていたが、実弾の使用を認めるとする司法取引の結果、過失致死罪での起訴に切り替えられていた。
ベン・デリ被告は2014年5月15日、ヨルダン川西岸の村近くで発生したデモ隊と治安部隊との衝突の鎮圧に当たっていた。CNNのプロデューサーが撮影した映像の中で同被告は、当時17歳だったパレスチナ人のナディーム・ヌワラさんを狙ってライフルを発砲した。近くの監視カメラの録画映像には、武器を持たずに歩くヌワラさんが胸に弾丸を受けて倒れる姿が映っている。
イスラエル軍の報道官は初期段階の調査結果として、暴動鎮圧に実弾は使用されていなかったと述べたが、その後の調査で実際には実弾が使われていたことが判明した。
25日の判決文は、ヌワラさんが治安部隊に脅威を及ぼしていなかったにもかかわらず、デリ被告がヌワラさんの胸を狙って発砲したと指摘。ただ当時のデリ被告は、実弾ではなくゴム弾を撃っていると思い込んでいたと付け加えた。
裁判所はデリ被告に対し、禁錮刑のほかヌワラさんの遺族に対して約1万4000ドル(約153万円)相当の金銭を支払うことも命じた。
ヌワラさんの遺族は、あらゆる証拠からデリ被告が弾丸の種類を正確に認識していたことは明らかだとして判決への不満をあらわにしている。父親のシアムさんはCNNの取材に答え、「デリ被告は当時、自分のしていることをよくわかっていた」「有力な証拠があるにもかかわらず、イスラエルには正義が存在しない」と語った。